
「実家の整理をしていたら、父が昔から集めていた切手帳が何冊も出てきたんです。今は手紙を書く機会も減ってしまいましたし、このまま眠らせておくよりは価値がわかる方に譲りたいと思って」。そうおっしゃって、重厚なストックブックをお持ち込みいただいたのは平日の午後でした。ご自身では価値が分からず、郵便局では現金化できないことを知って途方に暮れていたところ、私どもの看板を目にして立ち寄ってくださったとのこと。一冊ずつ丁寧にページをめくるたび、昭和の高度経済成長期を彩った鮮やかな意匠が目に飛び込んできました。拝見したのは、主に1960年代から80年代にかけて発行された記念切手の数々です。万国博覧会やオリンピックの記念号から、美しい日本の風景を描いたシリーズ、さらには当時の国民的な行事を記念した特殊切手まで、額面にしてちょうど30,000円分という圧巻のボリュームでした。多くはシートの状態で大切に保管されており、中には「月に雁」や「見返り美人」といったプレミア切手ではありませんでしたが、一つひとつが当時の収集熱を感じさせる、非常に状態の良いコレクションでした。今回の査定で特に私が注視したのは、切手裏面の「糊の状態」と「耳紙の有無」です。切手の買取価格を左右するのは額面だけではありません。長期間アルバムに挟まれていると、湿気で裏糊が溶けて台紙に貼り付いてしまったり、茶色いシミ(シリカ)が発生したりすることがよくあります。しかし、今回のお品物は専用のフィルムに保護され、湿気対策も万全だったようで、変色やシワがほとんど見られませんでした。バラ切手ではなく、シート状でミシン目も美しいまま維持されていた点を最大限に評価し、バラ扱いの相場を大きく上回る最高率での買取金額をご提示いたしました。切手の整理を検討されている皆様へ、鑑定士の視点からぜひお伝えしたい注意点があります。それは「絶対に台紙から無理に剥がさない」ということです。古い封筒に貼られたままのものや、アルバムに貼り付いてしまったものを、水に浸したり無理にピンセットで剥がそうとすると、紙の繊維が傷つき、価値が激減してしまいます。たとえ汚れているように見えても、そのままの状態で査定にお出しいただくのが一番です。また、ピンセットを使わず素手で触れることも、手の脂による変色を招くため、可能な限り保管状態のままお持ちいただくのが高価買取への近道となります。ご提示した金額をお伝えすると、「ただの紙屑になってしまうかもと不安でしたが、父の趣味が報われた気がします」と、安堵の表情で仰っていただけたのが印象的でした。切手一枚には、当時の日本の歩みや、収集家の方の情熱が凝縮されています。私たちはその価値を額面だけで判断せず、歴史的な背景や保管の努力も含めて評価したいと考えています。もし、皆様のご自宅でも整理に困っている古い切手シートやストックブックがございましたら、ぜひ一度拝見させてください。一枚一枚の価値を丁寧に見極め、次に必要とする方へ繋ぐお手伝いをさせていただきます。

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