
「趣味で長年集めていたのですが、最近は家族も興味を示さず、このままでは宝の持ち腐れになってしまうと思って」。そう寂しげに、しかし決然とした表情で難波の店舗を訪れたお客様の手には、重厚なボストークのバインダーが抱えられていました。かつて切手収集が国民的なブームだった頃、一版一版を丁寧に集めてはページを埋めていった当時の熱量を、そのアルバムの重みが静かに物語っていました。お預かりしたのは、切手コレクターの間で定評のある「ボストーク(VOSTOK)」の日本切手アルバム第4巻です。1974年から1985年にかけて発行された日本の記念切手や特殊切手が、解説付きの専用リーフに整然と収められており、額面合計は31,080円にものぼる圧巻のボリュームでした。この年代は、自然保護シリーズや近代美術シリーズなど、意匠の美しい切手が数多く発行された時期であり、単なる郵政資料としてだけでなく、当時の日本の文化的背景を俯瞰できる非常に資料性の高いコレクションです。査定において私が特に時間をかけて確認したのは、切手の「裏糊の状態」と「ヒンジ跡の有無」です。ボストークのような高級バインダーに収められている場合、保存状態は良好なことが多いのですが、稀に日本の湿気によって切手同士がリーフに固着してしまう「ヤケ」や「シミ」が発生していることがあります。今回のお品物は、お客様が定期的にページをめくって風を通されていたおかげで、色あせや紙の波打ちがほとんど見られませんでした。未使用の状態であることはもちろん、バインダー自体のコンディションも一級品であったため、バラ切手としてではなく、価値ある「完成されたコレクション」として評価し、最高額を提示いたしました。切手アルバムを整理される方によくお伝えしているのが、切手をアルバムから「無理に剥がさない」ことです。もし古いヒンジ(貼り付け用の糊付き紙)で固定されている場合、素人が剥がそうとすると切手の裏面を傷め、価値が激減してしまう恐れがあります。また、ボストークのようなバインダー形式のものは、中身をバラバラにして持ち込むよりも、アルバム一式の状態でお持ちいただいたほうが、その収集の苦労や希少性を加味したプラス査定に繋がりやすくなります。保管の際は、湿気を避けるのはもちろん、バインダーを横積みせず立てて保管することが、切手への過度な圧力を防ぐポイントです。最終的な査定額をご覧になり、お客様は「あんなに楽しんで集めたものが、また誰かの手に渡る準備が整ったようで安心しました」と、清々しい笑顔でお帰りになりました。私たちは単に額面を計算する作業をしているのではなく、お客様が費やした情熱や、大切に守り抜いてきた品物の歴史を正当に評価したいと考えています。難波という多様な文化が交差する街で、皆様の大切なコレクションを拝見できるのはこの上ない喜びです。もし、書棚に眠ったままの切手アルバムやボストークのバインダーがございましたら、ぜひ一度その価値を確かめにいらしてください。専門の知識を持って、誠心誠意、鑑定させていただきます。

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